10月9日は、イギリスのミュージシャン、ロックバンド「ザ・フー」のベーシスト、ジョン・エントウィッスルの誕生日です。2002年6月27日没。57歳。
ジョン・エントウィッスル(John Entwistle、本名:John Alec Entwistle、1944年10月9日 - 2002年6月27日)は、イギリスのミュージシャン。ザ・フーのベーシスト、ソングライターとして知られる。ソロのシンガーソングライターとしても活動した。ロック史上最高のベーシストの1人とされている。
エントウィッスルはベースを聴衆の正面に向けつつ斜め前に構え、さらに顔はヘッドの方へ向けるという独特の弾き方をしていた(聴衆からはエントウィッスルが右を向いて演奏しているように見えた)。アタック音を効かせた上でのすばやい運指は、正にリード・ベースと呼ぶにふさわしいものであった。そのプレイは、ギターの代わりにオブリガートを主張し、さらにメロディを奏でる特異的なものであった(タウンゼントのギターはリズム・カッティングやコードに徹している)。タウンゼントも「ザ・フーはベースとドラムがリード楽器で、ギターがリズム楽器と、本来の役割が逆転していたところがユニークだった」と語っている。そのプレイから"Thunderfingers"と渾名された。ザ・フーの大ヒット曲「マイ・ジェネレーション」で聴けるベースソロも、当時のイギリスのミュージシャンはギターソロと勘違いしていたという逸話もある。だが、エントウィッスルはあくまでバンドのアンサンブルを重視しており、彼のベースソロをフィーチャーした曲は存外に少ない。ステージでは、派手に動き回るタウンゼントやダルトリーと異なり、マイクスタンドの前に直立不動で黙々とプレイする姿勢を貫いた。彼のニックネーム"The Ox"(雄牛の意)はこれに由来する。本人は「動き回らないほうがいい演奏ができることに気付いた。それにリードボーカルをとることもあったし、いやと言うほどバッキングボーカルも歌わなきゃならなかったからね」と語っている。
自作曲においては、自らリードボーカルをとることが多かった。またかなり高い声が出せるため、彼のファルセットはザ・フーのコーラスワークで重要な役割を果たした。だが地声は低く、その低音ボイスを活かし「ボリスのくも野郎」や「サマータイム・ブルース」といった曲で台詞を担当した。レコーディングでは上記のとおり管楽器や、キーボードを弾くこともあった。
ザ・フーの全米ツアー初日を翌日に控えた2002年6月27日、宿泊していたラスベガスのハード・ロック・ホテル&カジノで、死亡しているのが発見された。ラスベガスの検屍官は、コカインの摂取による心臓発作が死因であると断定した。血流中のコカイン量はそれほど多くなかったが、心臓の既往症によって損傷を受けていた冠状動脈が、コカインによる影響で致命的な発作に結びついたと考えられた。